2時間半近くに及ぶ、かなり力の入った作品です。全体に非常にシリアスで根の深い題材を扱っているのですが、脚本がよく、ところどころにユーモアも交えてそれほど暗くない映画に仕上がっています。また、暴力シーンをほとんど暗示で済ませているところにも、興味本位で見られる作品にしたくないという監督のこだわりが感じられます。
描き方に関しては、頑張っているのはわかるのですが今ひとつ法廷ドラマにもなりきっていないし、かといって内なる人種差別を軸にした人間ドラマにもなりきっておらず、少々欲張りすぎてテーマが散漫になってしまった感があります。クー・クラックス・クランがよく登場しますが、彼らがあんなに堂々と顔を見せて行動する事が本当にあるのだろうか、という気もします。あるのだったら、それはそれで本当に恐ろしいことですが。
マックナーティーの頑張りは評価できますし、ジャクソンはまさにはまり役といったところです。ブロックの役どころは存在意義が今一薄く、刺身のつまのような存在になってしまったのが少し残念。また、脇役ではありますが、サザーランド親子の敵味方に分かれての熱演にも注目。
多少物足りない部分はありますが、映画の長さを感じさせない佳作です。それにしても、「ミシシッピー・バーニング」という映画もありましたが、ミシシッピーって本当に嫌なところのようですね。
鑑賞日:1996年8月24日
映画館:UA MIDWAY QUAD
フォレスト・ヒルズ