久しぶりにゾクゾクする映画に出会いました。この手の怖さは「羊たちの沈黙」以来です。冒頭からスクリーンの中は土砂降りの雨、雨、雨。とにかく全体に暗〜い画面が陰気な雰囲気を盛り上げてくれます。
今をときめくブラッド・ピットも今回は髭面の刑事に扮して、明るい二枚目の印象は全くありません。フリーマンなど引退前の初老の刑事の哀愁と貫祿をたっぷり見せてくれて、別に黒人だからという訳ではありませんが暗い画面がさらに暗くなってうってつけの役柄です。まだ青い刑事役のピットは、熱しやすい心の動きをうまく表現していると思います。また、彼の臭そうな演技が妙に真に迫っていて、こちらまで鼻息を止めてしまいました。
題材は宗教上の7つの大罪。もうこれだけで暗いですね。何だか20年位前によくあった暗くてドロドロした刑事物の映画を彷彿させます。始まりと終わりのテロップも昔風に工夫してあって、一貫しています。殺害の方法は猟奇的でグロテスクなのですが、この辺は淡々と見せられると逆に怖さが増すから不思議です。さらに、二人の刑事の私生活まで決して明るくないのです。そしてこの作品中で唯一の青空の下、意表をついた出来事が起こります。いや〜、恐ろしいですね。これは見てのお楽しみです。
なかなか良くできた脚本だと思います。日本人には馴染みのない7つの大罪の意味を理解するのがちょっと難しいのですが、そこは字幕制作者の技量に期待しましょう。私は結構好きです、こういう映画。
鑑賞日:1995年10月2日
映画館:AMC CENTURY 14
センチュリーシティ