サランドン演じる修道女とペン演じる死刑囚の交流を軸に、彼らを取り巻く愛と憎しみの人間模様を静かに、そして重く深く描いています。原作は実話だそうです。修道女と言っても例の黒と白のコスチュームのそれとは随分イメージが違い、服装も普通でお酒も飲みます。
私の表現力でどこまでこの映画の深みや静かなエネルギーを伝えることができるかわかりませんが、主演2人、特にペンにとっては"One of the Best"の演技と言って差し支えないと思います。彼の表現する強がり、空威張り、そして内面の孤独と屈折。サランドンの表現する心の戸惑い、葛藤、愛。犠牲者の家族もしっかりと個性を持って描かれており、彼らの悲しみ、怒りも画面からガンガン伝わってきます。合間に象徴的にはさまる殺人現場の映像が、見ている者に重すぎる悲しみをかえって和らげてくれる程です。全編のしっとりとした映像が少しだけ、救いになります。
死刑執行の場面ははっきり言ってショックでした。州によって違うとは思いますが、実際にあんな風に行われているのでしょうか? 見ていて恐かったし、この映画を見て落ち込む人もいるかもしれません。
製作・監督のロビンスはご存知長身・童顔の俳優でありますが、なかなか才能があるようです。日本では映画館の数が減っているようですが、お金をかけた派手は作品ばかりでなくこのような良質の作品も公開されることを祈ります。
鑑賞日:1996年1月17日
映画館:LAEMMLE'S SUNSET 5
ハリウッド