シャロン・ストーン主演の西部劇と聞いて、どうせ彼女の格好良さや色っぽさを見せるだけの駄作だろうと思って見に行きました。ことろが予想に反してどうしてなかなか面白い作品です。
ストーリーは西部劇によくあるお話で特に目新しいことはないのですが、役者が揃っているとでも言うのでしょうか。ストーンは日に焼けた顔に乱れた髪、短い爪といういつもと全く違う姿で登場します。さらに復讐のためとはいえ、人を殺すことをためらってしまう主人公の心の葛藤をうまく演じており、これらが開拓時代の女性ガンマンという白々しい設定に現実味を与えています。最近すっかり悪役にはまっているハックマンは、今回も冷酷な男を渋く演じています。他の登場人物がまた皆薄汚くて、非常に生活感のある映画です。デ・カプリオだけはこざっぱりした姿で登場し、まだ純粋さを失っていない青年をさわやかに演じて殺伐とした光景の中の唯一の救いになっています。時々見られるコメディかと思ってしまう程大袈裟でマンガチックな演出も、ここまで堂々とやられると納得してしまいます。「西部劇でございます」という音楽の中、主人公が去って行くラストシーンなど拍手をしたくなってしまいました。
小汚い格好をしていてもストーンは綺麗だしガンさばきもなかなか見事なもので、もともと彼女のファンでしたがこの映画を見てもっと好きになりました。以前、映画を見た人が皆その映画の主人公になった気分で映画館から出てくる、というタイプのヒーロー映画がよくありました。私はしばしストーンになった気分で大股に歩いてしまいました。それにしても西部劇を見る度に思うのですが、あんな時代に生まれなくて本当に良かった。
鑑賞日:1995年2月17日
映画館:AMC CENTURY 14
センチュリーシティ