何とも表現が難しい映画です。狼に育てられた少年のお話のバリエーションという感じでしょうか。ジョディ・フォスターがかなり熱演しているのはわかるのですが、映画自体の評価は分かれるところでしょう。

　山奥の小屋で発見された女性は今までの人生で母親と幼く死んだ姉妹以外の人間を知らず、外の世界を見たこともなかった。だからといって、母親は一応外界との接触を持っていたようだし、あんな変な言葉をしょべるようになるものだろうかとまず思ってしまいました。それにこの女性はかなり野性児なのですが、それこそ狼に育てられた訳じゃあるまいし、どう考えても少々知恵遅れなのではと考えてしまいます。２人のドクターが彼女をよく知ろうと少しずつ近づいていくうちに、彼女の純粋さや優しさを知って彼女を好きになってゆきます。ここで男の方のドクターが彼女と結ばれるなんていう結末だったらどうしようと思っていましたが、さすがにそこまで安っぽいお話ではありませんでした。しかし、最後のほうで彼女が突然立派なことをしゃべり始めるのは、どうしても白々しく思えてしまいます。

　何だかあまり良いことを書きませんでしたが、決して悪い映画ではありません。彼女が生きている世界の自然も美しいし、フォスターはもちろん脇役も皆好演しています。ただどうもあまりにもオスカーを狙いすぎているのが玉に傷でしょうか。見て損はないと思います。

鑑賞日：1994年12月16日
映画館：AMC CENTURY 14
　　　　センチュリーシティ