この映画を一言で言うなら「強烈」でしょうか。94年のボニー＆クライドは信じるものはお互いの愛だけで、他の人間は全て殺す対象でしかありません。

　これは、かなり社会的メッセージを強く前面に出した映画です。２人が育った環境や２人をとりまく周囲の状況の異常さが、現代の社会の歪みを激しく訴えています。もちろん殺人鬼の２人は正常ではありませんが、その２人を賞賛する若者たちや報道するマスメディアの在り方の方がもっと異様に思えてきます。２人を執拗に追跡レポートし、殺されるその瞬間までカメラに向かって話し続けるＴＶキャスターを熱演するドゥニージュニアがすごい迫力です。芸達者な俳優の素晴しい演技に支えられ、性倒錯者の警察官も囚人に異常な憎しみを抱く刑務所所長も激しく画面に迫ってきます。

　編集がかなり凝っていて、カラー、モノクロ、過去、現在、現実、イメージとポンポン切り替わる映像が始めはかなりわかりにくいのですが、慣れてくると心地よくなってきます。ただし、内容も映像もそうとう激しいので私など見終わった後で心身共にだいぶ疲れてしまいました。役にぴったりはまった俳優達の迫真の演技は一見の価値がありますが、体調の良い時に見ることをお勧めします。

鑑賞日：1994年9月16日
映画館：AMC CENTURY 14
　　　　センチュリーシティ