とにかく暗くて悲しく、そしてせつない映画です。ブランドン・リー扮するロッカーが自分と婚約者を殺した奴らに復讐するために1年後に蘇るというお話です。彼は実際にこの映画の撮影中に死亡しており、映画公開も彼の死後ほぼ1年後ということで見ていて少し怖くなります。
リーが死亡したためにストーリーに少し変更が加えられたようで、多少つじつまが合わないところもありますがあまり気になりません。さらに撮り残した場面はハイテクを用いて合成したようで、「死亡遊戯」(同じく撮影中に死亡した彼の父、ブルース・リーの遺作で本人か代役か非常にわかりやすい)のような違和感も与えません。初めは少数の劇場でひっそり公開されたのですがあまりに入場者が多かったため、急遽上映館を増やして全米公開されました。松田優作の死によって大ヒットとなった「ブラックレイン」を彷彿させます。
まるで「ゴッサムシティー」のような暗い街で繰り拡げられる麻薬、暴力と復讐。わずかにある優しい場面もかえって悲しみを誘います。決して後味の悪い映画ではりませんし、悲しい気分の時に中島みゆきを聴いてもっと泣いちゃったりする人にはお勧めです。ただアクションやバイオレンスが中途半端な感は否めません。ドライな人には向いていないかもしれません。
鑑賞日:1994年6月16日
映画館:MANN CRITERION 6
サンタモニカ